「サッカーに怪我は付き物」
よく言われることだし、本当にそうだと思う。サッカーは格闘技だ、なんて言われることさえある。体と体をぶつけ合い、ゴールを死守し、ゴールをこじ開ける。怪我の程度は違えど、怪我をせずにサッカー人生を終えられる人はほとんどいないだろう。
僕自身も1シーズンを棒に振るほどの大怪我は経験したことがないが、数ヶ月、数週間の怪我は何度か経験がある。周りには大怪我を繰り返してしまった選手もいたし、本当に苦しそうな姿も見てきた。そして、怪我に泣かされ引退していった選手もいる。
そこで今回は、サッカー選手における怪我について、その時の心境や苦労などについて話そうと思う。
僕なりに怪我にはフェーズが3つあり、
- 受傷
- リハビリ
- 復帰
に大きく分けられると考えている。
各段階での心境の変化や向き合い方について、自分の考えを書いていく。
①受傷
一番ショックを受けるのはやはりこのタイミングではないだろうか。物理的に痛いのもまた辛い。練習や試合中での怪我は致し方ないとはいえ、その瞬間に後々のことやリハビリ生活が頭をよぎることだってある。
特に怪我がちな選手は、自分の感覚でどの程度の怪我なのかが分かる場合もあり、精神的ダメージは大きい。それがシーズン序盤であったり、契約が切れるシーズンの終盤だったりする場合は尚更、ショックと同時に不安も襲いかかる。
怪我をしていてはそのシーズンに結果を残すことはできないし、ましてや次のシーズンのために積極的にオファーを出してくれるクラブも少ないだろう。そういったことを選手も十分理解しているため、想像以上の不安を抱えることになる。
「まずはしっかりと治そう」と口では言っていても内心では焦りが出てくる。自分自身でこういう気持ちと向き合い、その事実をキチンと受け止めることが大切だと思う。それが出来れば、次の段階にも前向きに移行できるだろう。
②リハビリ
怪我の程度にもよるが、数週間から数ヶ月のリハビリ生活を過ごすことになる。
受傷直後の治療から復帰へのコンディショニングまで、丁寧に進めていく。あまりに長期のリハビリを想像して、心が折れそうになる選手もいる。それでももう一度ピッチに立つために気持ちを奮い立たせて向き合う。
ここで外せないのが、メディカルスタッフの方々の支えだ。日頃のメンテナンスはもちろんだが、怪我をした選手にとって、ドクターやトレーナーがどれほど心強い支えになるかは計り知れない。
自分の体を診てもらい、意見を聞いて、復帰に向けて共に進む。全体練習の時間を超えて、遅くまでリハビリや治療に付き合ってくれたり、時には休日を返上して面倒をみてくれる。
個人的にも、そんなメディカルスタッフには特に感謝をしている。リハビリ期間が長期になればなるほど、コンディションは落ちてしまうし、元に戻すのは難しくなる。ただ、焦ってしまうと再受傷や他の部位への二次的負担にも繋がりかねない。
そのバランスを考えながら、丁寧に復帰への道を辿っていく。
③復帰
リハビリ生活を終えて、コンディションが上がってきたら、いよいよ復帰だ。ここでは選手には不安と期待と両方の気持ちがあるのではないか、と感じている。
コツコツとリハビリをしてきて再受傷はしたくないという不安と、ついにピッチに戻れるという期待感の二つの感情を抱えて復帰していく。怪我やリハビリ生活そのものはネガティブに捉えられがちだが、悪いことばかりではないと考えている。
もちろん怪我をしないに越したことはないが、怪我が自分の体と向き合うキッカケになったり、リハビリを経て強くなって帰ってきたり、選手として進化して戻ってこれるチャンスでもある。
現に、パワーアップしたコンディションとプレーへの渇望で、復帰後の方が復帰前より良いプレーをする選手は沢山いる。そうして少しずつチームの全体練習へ合流していき、再びピッチに戻っていく。
最後に
一生懸命プレーした上で、怪我をしてしまうことは本当に仕方がないとしか言いようがない。準備やメンテナンスで防げる怪我もあるが、こればっかりは結果論でしかない。
それでも自分のキャパシティを理解し、適切な練習やメンテナンスをこなすことは非常に重要な要素と言えると思う。
最大限の努力をした上での怪我であればあるほど受け入れ難く、苦しいものだが、受け入れなくてはならない。怪我を受け入れて向き合い、前を向いて復帰を目指すしかない。
なかなかその過程が表に出ることはないが、復活し、また元気にピッチに戻れるように頑張っている選手がいることを忘れないでいてくれるとその選手も報われる気がする。
僕自身もこれからのサッカー人生、怪我をすることがあるかもしれない。そんな時も支えてくれる周りの人に感謝をしながら、最後まで諦めずに戦おうと思う。
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