Jリーガーはサッカーだけをやっていればいいのか?
僕はそうではないと思います。
もちろん、プロのサッカー選手としてお金を稼いでいる以上、試合に出てチームの勝利に貢献することが一番の仕事であることは間違いありません。
ただ、このことだけがクラブに対する仕事(還元)の全てであるならば、試合に出場出来ない選手や怪我人は、単なる「不良債権」だということになってしまいます。
であれば、最初からチーム編成が30人前後で組まれることそのものがそもそも不良債権を作る仕組みになってしまっていることになるのです。試合に出る選手もいれば、サブでベンチを温める選手がいて、ベンチに入らないバックアップメンバーも必ず存在します。
それぞれの立場で必ずチームに還元できることがあると思っています。試合に出れない選手がそれを不服に感じ、トレーニングで手を抜くようなことがあれば、それはまさに不良債権です。
しかし、自分の出来ることを考え、忠実に仮想の対戦相手役に徹したり、チームの雰囲気を良くするために全力でプレーをすれば、それは立派な仕事ではないでしょうか。
これはプレーヤーとしてピッチ上での振る舞いに関しての話ですが、ピッチの外でもクラブに貢献する方法はあります。
その一つがクラブイベントです。
正直に言うと、現状は割り振られたイベントを「とりあえずこなし」ている選手が多いように感じます。選手のキャラや性格にもよりますが、あからさまに面倒くさそうに参加する選手もいるのが現状です。自分のスケジュールを優先して、頼まれたイベントを他の選手に押し付ける選手も稀にですが、います。
僕らの仕事が成立している理由をもう一度考えてみるべきだと思います。サッカーというコンテンツなんて所詮、エンタメであり娯楽です。
それを楽しんでくれるファン・サポーター、支援してくれるスポンサー企業。こういった人たちがいなければ、そもそも僕たちの職業は成立しません。
これは綺麗事でもなんでもなく、事実です。だとすれば、ファン・サポーターに向けたイベントやスポンサー企業への挨拶まわりが、どれだけ重要なことか分かるはずです。
さらに言うと、決められたイベントに「お客様気分」で臨むのもどうかと思います。自分の言葉で感謝を伝えたり、自発的に場を盛り上げるなど、出来ることは沢山あります。
もちろん、そういった行為が苦手な選手もいますが、これも仕事です。
プロのサッカー選手として試合に出て貢献するのことはチームの編成上、必ずしも全員が達成出来ることではないですが、その他の貢献は誰にでも必ず出来るはずです。
正直なことを言うと、僕自身も入団当初はこの「不良債権」だったのかもしれないと思います。トレーニングは全力で行っていましたが、試合にも絡めず、イベントでもどんなアクションをとっていいか、まごまごしていました。
そんな時、僕にはそれをキチンと伝えてくれる周りの人がいたことが救いでした。大切なことに気づかせてくれました。
良くも悪くも、「選手ファースト」な雰囲気をどうしても感じてしまいますが、行き過ぎたそれはあまり良くないとも思います。なぜなら、選手が「勘違い」をしてしまうからです。
選手が主体的に考え、動けるように周りの人が時には厳しい声かけをしてもいいのではないかとも思います。そうして、自分の仕事をしっかり理解している選手が増えれば、全体の空気感も変わってくるでしょう。「やっていないやつ」が浮いてしまうような環境が理想だなといつも思っています。
地域の方々やスポンサー企業に愛されればチームが強くなるとは限りません。でも、強いチームは愛されている。ということもまた事実です。そもそも、愛されなければ娯楽として成立しませんし、このことを選手も理解するべきです。
所属クラブがより多くの人に愛されるように出来る限りのことはしていこうと考えています。それも僕の仕事だと思っているので。
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